洗練された猛獣だ!! ランボルギーニ ウラカンLP580-2 スパイダー

ランボルギーニ LP580-2スパイダー グレード名がパワーと駆動方式をアピールする。そう、580psを誇るエンジンを縦置きに搭載し(LP)、そのパワーを2輪で受け止めるというミッドシップマシンなのである。

ボディサイズは全長4459mm×全幅1924mm×全高1180mmである。乾燥重量は1509kg。

V型10気筒5.2リッターユニットをミッドシップに縦置きで搭載、最高出力は580ps/8000rpm、最大トルクは540Nm/6500rpmを炸裂させる。ミッションは7速2ペダルである。スペックを確認しただけで身震いする。

ちなみに、クローズドボディのウラカン「LP580-2」よりは、全高で15mm高く、車重も120kg増える。それは電動ルーフの処理によるものだろう。ともあれ、この強烈なスペックを思えば、ルーフの高さや乾燥重量の増加分などまったく感じさせないほど些細なことである。サーキットでタイムを計測でもしない限り、その差が現れることはないだろう。少なくとも体感的には、強烈に恐ろしいほど速いという以外にないのだ。

実際に走りこんでも、ウラカンがとてつもなくピュアなスーパーカーの世界に生息していることがわかる。エンジンはもちろん、獰猛な肉食獣のように荒々しい。強烈なバワーは、回転の上昇に比例して高まり、意を決して挑まない限り、回転リミッターが頭を叩くまでスロットルを踏み込んでいることができない。階段を一つ飛ばしで駆け上るように、パワーが嵩上げされていくのだ。

サウンドも勇ましい。まさに猛獣の叫びだ。スパイダーだからそれはさらに強調される。ドライバーの背後からは、金属質なメカニカルサウンドが響き、頭上から注ぐ唸り音がドライバーをそっくり包み込む。明らかにサウンドに威嚇され、萎縮していく自分が自覚できた。

このエンジンの凄さは、そのレスポンスにある。アクセルペダルの1mmがそのままダイレクトに反応するのだ。いや、右足のちょっとした震えすら見逃してくれない。1mmを踏み込もうとした右足の動きを先回りするかのように反応するのだ。これほどレスポンスの良いエンジンは、これまでの僕のレーシングエンジンを含めての経験でも味わったことがない。スーパーGTマシンよりも鋭いのだから脱帽である。

ミッションの反応も、やはり同様に、僕の経験値をはるかに超えている。ステアリングの裏に隠された左右のバトルを引けば、その瞬間にギアが移り変わる。それすらもスロットルペダルと同様で、指先でパドルを引こうと思った瞬間に、いや、それを予測しているのではないかと疑うほどに、俊敏な変速なのである。

シャシー性能も一切の乱れがない。鋭く突き刺すハンドリングは極めて刺激的だ。しかも、後輪駆動である。意を決して挑まない限り、コーナリング中のスロットル床踏みは躊躇われる。

だがしかし・・・。トラクションコントロールを主体にした電子制御システムは感動するほど正しく調教されている。限界領域でスリリングなテールスライドに陥りそうな素ぶりを見せるのだが、それを確実に抑えてくれるのだ。危険な姿勢にはまったくならない。

 

しかもその制御が、興ざめを誘うような御仕置きモードではなく、ドライビングプレジャーを残したまま、確実にマシンを前に進めてくれるのだ。効いているのかいないのかわからないような繊細さで、だが確実にコースアウトからマシンを救ってくれているのである。この制御ですら、僕のレーシングマシンを含めての経験にもなかったものだ。これなら4WDでなくても構わないと思ったほどである

そう、ウラカンはとても繊細に仕上げられた猛獣である。決してじゃじゃ馬ではない。その意味では、古くからイメージされてきた荒々しいだけのスーパースポーツではなく、極めて現代的に洗練された猛獣だと思

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