『ペルフォルマンテ』の最大の特徴は、可変型のエアロダイナミクスの「翼」にあり

『ペルフォルマンテ』がニュルブルクリンクで最速記録を打ち立てることができた背景には、もうひとつ秘密がある。それが、イタリア語で「翼」を意味する「エアロダイナミカ・ランボルギーニ・アッティーヴァ(ALA)」の採用だ。ALAとは、平たくいえば可変型のエアロダイナミクス。ALAが作動することで、能動的に空力負荷を軽減してくれる。

一般的な可変型エアロダイナミクスは、速度などに連動して作動することが多い。しかし、ALAはひと味違う。極端にいえば、すべての車両状態に連動するのだ。それを可能にしたのが、「ランボルギーニ・ピアッタフォルマ・イネルツィアーレ(LPI)」。これは、車両に搭載されたすべての電子装置を「リアルタイム」で管理して、加減速やローリング、ピッチング、ヨーイングといった車両の挙動を常に把握するシステム。このLPIとALAが連動することで、あらゆる走行条件において最高の空力設定を整えるのだ。ちなみに、車両挙動の変化を感知しALAが起動するまでの時間は、わずか0.5秒だという。

ALAが作動すると、フロントでは、フロントスポイラー内のフラップが電動モーターによって開放されて空気を取り込む。これにより、車体底部へと気流が生まれて空気抵抗が減少。加速及びトップスピードの最大化に最適な条件が整う。ALAをオフにした場合はフラップが閉じて、気流は生まれない。その代わりに、高速でのコーナリング及びフルブレーキング時に必要な高ダウンフォース(車が地面に押さえつけられる力)が発生する。

一方、リアではさらに精密な制御が行われている。ALAが作動すると、開いたフラップから空気を取り込み、その空気はインナーチャンネル(空気の通り道)を伝って、ウィング下へと運ばれる。結果として、ウィング上面と下面の気流に変化が生まれてダウンフォース(車が地面に押さえつけられる力)が軽減。上から押し付けられる力が少なくなる分、加速力とトップスピード到達力が向上するのだ。逆に、ALAがオフになると、リアフラップが閉じ、従来の固定式リアウィングと同様の働きとなってダウンフォースが発生。その際の力は、『ウラカン・クーペ』の7.5倍となり、高速コーナリング時やフルブレーキ時の安定性を高めてくれる。

さらに驚くべきは、「エアロ・ベクタリング」と呼ばれる仕組みだ。曲がる方向に応じて、ALAの設定をスポイラーの左右いずれかに切り替え、どちらかに多く気流を発生させることで、揚力やダウンフォースを調整。車両全体の動的安定性を向上させるという。このALAこそが、『ペルフォルマンテ』の最大の特徴といってもいいだろう。

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